ノーノーノーライフ(No Noh,No Life)

能狂言のこと、伝統芸能のこと、観劇レポートなどをかきます。15歳ころ能楽に出逢う。多摩美術大学芸術学科卒。12年間伝統芸能の専用劇場に勤務。スペースオフィスというユニットで能狂言グッズなど作っています。Twitter@ofispace

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

杜若、業平という紫色をまとったアイドル

友人の結婚式が近いので袱紗(ふくさ)の確認をしていたところ、紫色の袱紗は、慶弔どちらにも使えるという。 他の色の袱紗は主に暖色系が慶事、寒色系が弔事と配分されていて、片方のシーンでしか使えない。 紫は、紫草の根で染めた色という意味で紫と呼ば…

絃上、最強の音楽オタクの集い

梅雨入りした。梅雨らしい雨が、しとしと降ったり止んだりしている。 気候変動でスコールのような土砂降りの雨が増えたのは気のせいではないだろう。ああいう雨は、不安になり、早く止んでくれと願うだけ。 しとしとの雨は、アンニュイな気分になり、いつま…

松風、双子姉妹の心のゆくえ

妹がひとりいる。隣の駅に住んでいて徒歩圏内なのだが年に一度くらいしか会わない。仲が悪いわけではなく、むしろ良い方だと思う。 彼女はどこまでも平等で、典型的な丑年生まれのため、亥年の私をのんびりかわしてくれる。 妹の存在とは別に、双子に生まれ…

黒塚、人を嫌わざるを得なかった美女

銭湯にちょこちょこ通っている。水が多いところというのは、気の巡りがとても良い気がする。 その銭湯で、ハーフかわからないが成長したら東洋美女になるであろう風情の少女がいた。 私は出てきたところで、彼女はこれから入るところ。隣には日本人の、お母…

俊寛、なぜ自分だけが

いぜん宿泊先で、15分過ぎてチェックアウトしたら無料の送迎バスがもうなく、駅に行くバスは…と受付の女性に聞いた。 女性は何かにものすごくいらだっているようだった。 バス停までの道順を教えてくれたが、なぜか一言も頭に入らず、聞き返すのも怖かったの…

海人、強くて哀しい母

となりのアパートの1階に赤ちゃんがいるのは、時々泣いている声が微かに窓越しに聞こえるので知っていた。 窓から漏れ聞こえてくる音にはお母さんとお父さんの優しいくぐもった声もある。状況を察するに、どうも、赤ちゃん、お母さんがほんのちょっと(例え…